2015年 11月 29日
野鳥の宝庫「普正寺の森」の生態系破壊となる 犀川左岸拡幅工事等の見直しを |
多様な生き物の宝庫「普正寺の森」を将来世代へのこそう
普正寺の森の生態系破壊となる、犀川左岸拡幅工事の見直しを
森の都愛鳥会は30年にわたり、春と秋、渡りの時期に年2回、「普正寺の森」でバードウオッチングを続けてきました。初めは野鳥の観察からスタートしたのですが、たくさんの野鳥が立ち寄る背景には複雑に絡み合う、食物連鎖と食物網があることに気がつきました。自然の生態系は太陽の光、空気、水、土、そしてたくさんの生き物が関わり合っています。
その普正寺の森が、犀川左岸拡幅により縮小されるとの情報があり、即 石川県土木部河川課を訪ね、計画の詳細を聞き、質問、話し合いをしました。
しかし答えは平成17年に策定した「犀川水系 河川整備計画」に則って計画を進めているの一点張りで、話し合いも深まることもなく、のれんを押すように手応えが感じられませんでした。立場上の問題もあるのでしょうが、河川課は治水、利水に重点がいっている、私たちは環境保全の立場から話をする、そこには共通の土壌が無いという印象でした。
人間は食べ物そして天然資源、医療、文化すべての分野で自然の恵み(生態系サービス)をいただいて生活しております。そのようなサービスを生み出す自然を人間社会の資本ととしてとらえる考え方が近年起きてきています。自然の価値をお金という身近な尺度で表すことも一つの知恵ではないかと思われます。それは気が遠くなるほど難しいことだと思うけど、逆に考えると人間はいかにお金に振り回されているかの証しみたい。
2010年に名古屋で開催された生物多様性を守る国際条約(COP10)で自然の重要性や価値を認識する「自然資本」という考え方が提案されました。このような考え方が浸透していけば明るい未来が見えてくるのではないかと思います。
普正寺の森を縮小するという。それも東南に面し、森と水辺をつなぐ湿地帯、幅40~50mのエコトーン(移行帯)を削ればその影響は森全体に及ぶと思います。
破壊してしまった自然を取り戻すには莫大なお金と時間がかかり、また元通りの自然にはなりません、私たちは犀川下流左岸拡幅計画に反対します。
こ れ ま で の 経 緯
10月 初旬 犀川左岸「普正寺の森」付近で測量用の新しい杭を発見
10月13日 石川県県央土木総合事務所河川砂防課訪問して測量の目的を尋ね、それが犀川左岸拡幅工事のためであることを知る。
10月16日 石川県土木部河川課へ「森の都愛鳥会」「日本野鳥の会 石川」の7人が犀川左岸拡幅
工事の詳細と変更可能かどうかの質問に、答えは全く変更しないという返事。
両会の協議の結果、共同で「要望書」の提出することにした。
河川課との打ち合わせで11月12日に「要望書」を提出することになった、しかし前日になって急に河川課から1週間後の11月19日に変更してくれとの電話がある。
11月19日 石川県知事宛に両会の4人が「要望書」を提出、趣旨を説明し、犀川左岸拡幅工事お
よび中州の撤去に反対では絶対反対であることを伝える
12月17日 「要望書」返事を聞きに行く、両会から7名参加。
11月19日の話し合いと変わらず、平行線のままである。
「質問状」を提出し、その回答を12月24日に求める。
その後河川課から回答は1月15日に出すとの返事が届く。
愛 鳥 会 と し て
森の都愛鳥会としての基本的考え
犀川左岸拡幅計画は9~10年前にもありましたが、日本有数の野鳥の宝庫である「普正寺の森」の生態系破壊になることから、右岸の河畔林等の大幅な拡張を行って左岸の計画は必要ないとして中止され、今日に至っています。なお、その際生態系に配慮し一部河畔林を中州として残しました。にもかかわらず今また再び河畔拡幅計画を起こすことに整合性があるのでしょうか。
当該「普正寺の森」東側の林縁部に位置する「ササゴイの池」周辺には、明るいところを好む多様な種子植物が数多く生育し、そこから水辺までの「エコトーン(環境移行帯)」には湿地を好む植物、植物食動物、小型肉食動物、さらにそれを捕食する生きものが集まり、食う食われるの関係が鎖のようにつながる生態系ピラミッドを構成しております。
岸辺には多くの魚類が集まり、減少しているカニ類(アカテガニ、クロベンケイガニ)が産卵、生息し、またカモ類の休息の場であり子育ての場でもあります。
多様な植物群落、オニグルミ、ハンノキなどの河畔林を飛び交う野鳥たち、彼らは「川」、「中州」、「エコトーン」、「ササゴイの池」、「後背林地」と変化に富む環境とその密接な関わりの中で生きています。
多くの種類の野鳥が見られるということはそこにはそれを支える多様な環境があるということであり、生物多様性に富む豊かな自然環境です。
人間の都合だけで環境に手を加えると、それまで保たれていた生態系のバランスが崩れ、生態系の種構成に大きな変化が生じ、その影響は森全体に広がります。人間は多くの生き物の恩恵を受けて生活しており、小さな命を大切に育み、将来世代に渡していく責務を負い、今その地域の生物多様性を守る事は自治体の最も重要な役割です。
洪水対策一環としての犀川左岸拡幅工事および中州の除去工事に関し、今一度別の方法がないか、計画見直しを要望いたします。
・上記の犀川左岸拡幅工事とは
河口から安原川合流点までの計画流量を確保するための築堤、護岸整備のことで、普正寺橋上流500m付近(ササゴイの池付近)での横断図によると川幅が150m必要となっており、これにより犀川左岸が大幅(40~50m)に削られ、中洲も撤去されることになります。
平成27年11月19日(木)石川県土木部河川課へ石川県知事宛ての要望書を日本野鳥の会石川と合同で提出し、その主旨を説明し、話し合いをしました。野鳥の会から青山代表と中村副代表が出席、愛鳥会から本間顧問、辻村が、さらに個人として手井氏も出席。野鳥の宝庫「普正寺の森」の生態系破壊となる、犀川左岸拡幅工事および中州の撤去に反対であることを強く主張しました。
大切な「普正寺の森」を守れるかどうかは今後の継続的な活動に掛かっています、応援をお願いいたします。
皆様の声を石川県へ届けてください。
「犀川左岸拡幅工事等に反対」のメール送信をお願いいたします
送信方法
まず、下記のアドレスで「石川県のホームページ」に進んでください。
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kenmin/koe/mail.html→石川県のホームページの、「いしかわ夢づくりEメール(県政に対するご意見・ご提言等)」が開きます。
→最も下の、「ご意見・ご提言記入欄」に、ご意見を記載して頂き、「送信確認」をクリック。
→「送信する」
・なお、送信時には、「住所・氏名・年齢・性別・メールアドレス」など、すべて記入不要です。
ただ、石川県民以外からの場合は、石川県以外のメールである事を、「ご意見・ご提言記入欄」に、ご記載をお願い致します
「※下図は、県より平面計画図を頂けなかったので、森の都愛鳥会の会員が、県からの聞き取りによって描いた図です。
ただ、県職員に図を見て頂いた際に、図の間違いの指摘はなく、図に大きな違いはないと思っています。
そして県からは、普正寺橋の架け替え、中州の除去、犀川拡幅の幅員約150mは決定している。
河川の管理用道路を、ササゴイの池の西側に建設予定と伺っています。」
ササゴイの池と犀川左岸との間にある、大切な湿地帯、エコトーン(移行帯)の断面図です
干満で水位が変化します カニ類の放仔場所でもあります
11月19日提出の「要望書」
平成27年11月12日
石川県知事 谷本 正憲 様
日本野鳥の会の会石川 代表 青山 輝久
森の都愛鳥会 会長 辻村 澄
「普正寺の森」の生態系破壊となる
犀川下流域の河川整備についての要望
日頃より、野鳥の保護についてご理解とご協力をいただきありがとうございます。
さて、金沢市を流れる犀川下流域の河川整備(犀川最下流、普正寺橋~犀川橋間の左岸)が本格化すると伺い、この河川整備について要望いたします。
この計画によれば、普正寺橋と犀川橋間の左岸は大きく掘削されることになり、健民海浜公園野鳥の森、通称「普正寺の森」の一部と、ササゴイの池およびササゴイの池野鳥観察舎が失われます。
普正寺の森は、全国に知られた野鳥の生息地でもあり、掘削予定地のササゴイの池は、絶滅が心配されているチゴモズやアカモズが繁殖したこともある重要な野鳥生息地です。また、同地は平成2年には全国野鳥保護の集いが開催され、石川県が野鳥保護を宣誓した場所であり、野鳥を通じて多くの県民が自然に親しんでいます。
今回の河川整備では、貴重な野鳥の生息環境と、多くの県民が利用する観察場所を損なうことのないよう、強く主張いたします。
記
犀川下流の河川整備において、左岸を掘削し、多くの県民に利用され野鳥の重要生息地である普正寺の森、およびササゴイの池野鳥観察舎を破壊することに強く反対し、同計画の見直しを要望いたします。
<理由>
◎普正寺の森の重要性、計画地の自然環境
「普正寺の森」は、海岸と河川に挟まれた独特の地形を持ち、国内屈指の渡り鳥の重要な中継地となっている。これまでに約290種の野鳥が観察されており、これは石川県内で記録される野鳥の60%をしめる高い比率である。また国や石川県指定の絶滅危惧種も多く記録され、貴重な種類の繁殖が確認されている。また越冬する種類も多く、山地にみられるアカゲラやアオゲラが見られる特異な場所でもある。
掘削予定の左岸の河畔林と中州はカモ類、クイナ類、カイツブリ類の生息、繁殖、休憩場所となる極めて重要な場所である。またササゴイの池とその周辺は湧水が点在し、水の少ない海岸林での渡り鳥たちの安全な水場の一つとなっている。池には清流のシンボル的な存在であるカワセミなどが飛来し、クイナ類、サギ類、カモ類が翼を休める貴重な湿地である。河川整備による湧水や湿地の消失は、この池に依存する野鳥をはじめとする生物に大きな影響を与えることになるだろう。
この周囲は全国的に絶滅が心配されるチゴモズ(環境省レッドリストⅠA類)、アカモズ(同1B類)が繁殖したこともある重要な野鳥生息地である。ちなみに環境省レッドリストⅠA類はコウノトリ、1B類はライチョウが掲載される重要度である。
◎野鳥観察地としての普正寺の森、ササゴイの池
日本野鳥の会石川は昭和59年(1984年)以降約30年間、森の都愛鳥会も同じく約30年間それぞれ毎月探鳥会を普正寺の森で実施。野鳥を通じて県民の自然保護に対する普及啓蒙に努めている。これまでの探鳥会参加者は延べ約2万人を数え、石川県で最も大きな観察会となっている。
平成2年(1990年)には全国野鳥保護の集いが開催され、常陸宮殿下のご臨席のもと、石川県が全国に野鳥保護を宣誓した場所でもある。いわば石川県の野鳥観察の聖地とも言える普正寺の森の中で、ササゴイの池野鳥観察舎は唯一の観察舎であり、ササゴイの池はシンボル的な観察場所である。
◎県行政の整合性はあるのか
犀川左岸拡幅計画は15〜16年前にもあったが、左岸の日本有数の野鳥の宝庫である「普正寺の森」の生態系破壊になることから、右岸河畔林等の伐採掘り起こしを行い川を大幅拡張。これ以上、左岸の大幅拡張を行う計画は不必要だと判断され中止、今日に至っている。その際生態系に配慮し、一部河畔林を中州として残した。それにも関わらず、再び河畔拡幅計画を起こすことに整合性はないと思われる。この場所はもともと野鳥の会石川などの保護団体が働きかけ、それを受けて石川県環境部が昭和62年頃(1987年頃)に整備したものである。県河川課と自然環境課(当時:自然保護課)の間で、保全の約束が交わされ、ササゴイの池や同観察舎が整備された。日本野鳥の会石川(当時:日本野鳥の会石川支部)もその旨の説明を受けて納得し、現在はササゴイの池と同観察舎を自然環境課より委託され管理しているものである。今回の河川整備計画は県行政の整合性を疑うものであり、世界や国内の生物多様性保全の流れに大きく逆行するものである。
◎別紙1,2を添付します
<別紙1>普正寺の森・記録種の石川県での割合 <別紙2> 普正寺の森・鳥類リストと説明
12月17日 質問状
平成27年12月17日
石川県土木部河川課 鈴木 穰 様
日本野鳥の会石川 代表 青山 輝久
森の都愛鳥会 会長 辻村 澄
犀川下流域の河川整備に関する質問
日頃より、野鳥の保護についてご理解とご協力をいただきありがとうございます。
石川県は、普正寺の森で「全国野鳥保護の集い」を開催し、「国連生物多様性の10年」の国際的な記念フォーラムを開催・宣言するなど、生物多様性のテーマに対して前向きに取組んでいると思っています。さて、犀川下流域の河川整備について基本的な事項を確認したく、以下の情報開示と回答をお願いします。ご多忙中のことと存じますが宜しくお願いいたします。
記
1 右岸掘削整備についての経緯
以前から同計画がある中で、2006年に左岸掘削を中止し、右岸掘削整備した経緯と理由について、回答をお願いします。
2 犀川下流域の河川整備工事について
普正寺の森の掘削予定の大規模河川工事の正式な工事名称、その開始時期及び終了時期も含めた具体的な工事計画 及び 土地の買収計画とその進捗状況について、回答をお願いします。
3 河川環境基本計画について
野鳥や他の生物たちにとって重要な場所である「普正寺の森」のある左岸側が、河川環境管理基本計画の中のどういう位置づけになっているのか、回答をお願いします。
4 普正寺の森の掘削回避
今回の計画は、地域と住民の安全確保のためにどうしても必要なのか。普正寺の森側の左岸を大きく掘削する方法以外には考えられないのか、右岸ではできないのか。専門的な見解での回答をお願いします。
5 生物多様性に対する見解
普正寺の森の生態系を破壊する今回の河川計画で、自然環境(生物、生態系)の有識者に事前の相談を行い、必要な手続きを十分にとったのかどうか、それを踏まえて河川課としての生物多様性への見解について、回答をお願いします。
◎12月24日までに下記宛に文書にて回答をご送付ください。
日本野鳥の会石川
普正寺の森河川工事対策委員会 委員長
金沢市桜町22-26 白川郁栄
by mizogoi
| 2015-11-29 20:51
| 犀川下流左岸拡幅反対
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Trackback
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Comments(1)
Commented
by
toketoke24 at 2015-12-04 20:08
お疲れ様です(^^)工事反対のメールを石川県のホームページに送信しました。
みんなで普正寺の森を守りましょう
みんなで普正寺の森を守りましょう
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